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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第4章 女中 清(きよ)
「あのぅ・・・、あれは、遊郭に古くからある知恵でございます。遊女は、あれを和紙に塗って乾かせたものを、小さく切って懐に入れておりまして、口に含むと唾液が滑(ぬめ)りますので、殿方のあれが挿れにくい時には、それとなく女陰(ホト)に塗るのです。・・・申し訳ございません。帝大生には、このような下品な話は不似合いでございますね。」
「いやいや。この下宿に来てから、女中の皆に教えてもらうことばかりだ。清にもお礼を言うよ。」
「まあ、よして下さいまし。私などは何も・・・。それでは、次のお支度をさせていただきますね。」 清はそう言いながら、少しうつむいて、両手をうなじに回し、後ろ髪のほつれを掻き上げてから立ちあがった。誠一は、<次の支度>の言葉と、年増の色香を感じさせる仕草に、体を熱くした。清は、手早く「座敷」に寝床を敷いてから、 「お茶を持って参りますので、少しお待ち下さいませ。」 と言って、下膳していった。