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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第4章 女中 清(きよ)
<若い女中には酷なことですから> 清を初めて縛った日から、そのことを繰り返し言われてきたことを、戸田は朝餉を摂りながら、改めて思い返した。・・・・・
(回想)
留学中に、親しくなった英国貴族家の学生から、知識人の間で密かに回し読みされてきたという禁制本<マルキ・ド・サドの「悪徳の栄え」>を見せられ、少女が緊縛され凌辱される様子を描いた挿絵に衝撃を受けたことが、<緊縛>に興味を持つ切っ掛けだった。
帰国後もその挿絵が頭から離れず、もしやと思い古書店街を巡って関係する書物を捜してみると、実は日本でも江戸の昔から、性技としての<緊縛>が密かに伝わっており、その風俗を描いた絵図入りの本などもあることを知った。多くは「発禁本」であったが、幾つかは入手もした。しかし、それはあくまで知識としての<緊縛>であり、せいぜい、自慰の時にそれを想像する程度のことであった。