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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第4章 女中 清(きよ)
その後も、<緊縛>関連の本を求めて足繫く古書店街に通ううちに、次第に馴染みになった店主が、そもそも店頭に出されるはずのない発禁本を、奥の部屋から密かに持ち出してくれるようになった。そうして集めたものを見ながら、一ケ月半おきの清の当番の時に、いろいろな縛りを試しながら、激しく抱くことを繰り返したのだった。
その清はというと、初めて<緊縛もどき>をした次の当番の時には、長短数束の麻縄を用意してきた。縄には、縛った時に肌を痛めないように、表面を軽く炭火で焼いて、麻特有の細かいケバを取り除いた跡があり、また椿油を塗りこんで柔らかく滑らかにしてあった。何故そのような実践の知識があるのかを訊いてみたが、清は曖昧に笑顔を見せるだけで、 「このようなご趣味は、わきまえた女子(おなご)でないと、体にも心にも苦痛ですので、若い女中にはおよし下さいませ。」 と念押しするのだった。