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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第4章 女中 清(きよ)
翌日から数日間は、戸田は、学年末を控えて、土木工学講座の課題設計に深夜まで時間を割いていたが、それでも、就寝前には寝床で<緊縛秘伝帳>を何度も読み返していた。
というのも、その本を入手した時には、副題が<図説三十六繩手>ということもあって、卑猥な絵図の載った趣味本くらいに思っていたのだが、実際に目を通してみると、日本的な<緊縛>趣味の伝統を分かり易く紹介しており、知的な興味を強くそそるものだった。
その記述によれば、本来<緊縛とは、男女の深い信頼関係に基づく高度な愛情表現>であって、とりわけ、<縄模様は、女体を崇高で美的なものとして昇華させる芸術>ともいうべきもので、それこそが「秘伝」であると説いていた。従って、それを実践する者は、欲望の赴くままに乱暴なことをするのではなく、女体を美しく見せ、しかも傷つけないように細心の注意が要(い)るとして、そのために、<図説三十六繩手>で美しく安全な縛り方を示していると、書かれていた。
というのも、その本を入手した時には、副題が<図説三十六繩手>ということもあって、卑猥な絵図の載った趣味本くらいに思っていたのだが、実際に目を通してみると、日本的な<緊縛>趣味の伝統を分かり易く紹介しており、知的な興味を強くそそるものだった。
その記述によれば、本来<緊縛とは、男女の深い信頼関係に基づく高度な愛情表現>であって、とりわけ、<縄模様は、女体を崇高で美的なものとして昇華させる芸術>ともいうべきもので、それこそが「秘伝」であると説いていた。従って、それを実践する者は、欲望の赴くままに乱暴なことをするのではなく、女体を美しく見せ、しかも傷つけないように細心の注意が要(い)るとして、そのために、<図説三十六繩手>で美しく安全な縛り方を示していると、書かれていた。