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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第4章 女中 清(きよ)

 そして、やはり自分は、その日本的な美意識の<緊縛>に惹かれているのであって、西洋的な残虐性には徹しきれないということも自覚した。実際のところ、この前に清を縛って抱いた時には、腕や肩を痛そうにしたのを目にして、一瞬だが快感が消えるような感覚に陥った。また、その時の結び方が、<これまでと違って緩みが無い>と清が言っていたので、その分、体に負担がかかったのではと後々も心配になり、給仕の時など、綿紬の袖から覗く腕に、もしや縛りの跡でも残ってないかと、気にもしたのだ。

 戸田は、これまで、何か心の隅に嫌悪感がありながらも、どうしても<緊縛>に惹かれていく自分に気持ち悪さを感じていた。しかし、たまたま興味本位で入手した<緊縛秘伝帳>を切っ掛けに、自分は女性を残虐に凌辱するのではなく、女性を美しく見せる耽美の<緊縛>を追い求めているのだと、気持ちの整理をつけることが出来たのだった。

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