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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第2章 女中 良枝
日付が変るころ、良枝は静かに布団から出て、月明かりの中で、部屋の隅に置いてあった寝間着を着た。そして、誠一を揺り起こして寝間着を着せ、大きなシミが出来た敷布を、「次の間」から取り出してきた新しいものと取り替えてから、再び寝かせた。誠一は、無言だったが、布団の中で横になったまま、礼を言うように良枝の手を取って擦(さす)った。良枝は、誠一の傍(かたわら)に正座し、はにかんだ笑顔で深くお辞儀をすると、静まり返った廊下を、女中部屋に帰っていった。
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