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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第2章 女中 良枝
食べ終わると、良枝は晩秋の日差しによく乾いた洗濯ものを抱えてきて、ひとしきりシャツに電気アイロンを当てたあと、丁寧に畳んで、押入れの行李に手際よく整頓していった。その楽しげな様子を見ながら、誠一は、女中たちの気持ちに寄り添うことの大事さを改めて自戒した。幸乃に<女体を抱くだけでなく、気持ちを察してやさしく接して>と言われたことや、良枝が<友達が遊郭に入る中で、私はこちらで気遣いをいただきながら働けるのは有難い>と言っていたことの意味が、分かりかけた気がした。
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