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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
あたしはつい彼の口元を眺めてしまった。ちゃんとコーヒーを飲んでくれるだろうか。錠剤に気付き、吐き出されてしまわないだろうか。
最初は他の彼が好きなジュースを買い、薬を混入するつもりだった。だけど冷たいのを買って錠剤が溶けないと困る。味が代わり、万が一気付かれたら。だから熱くて色も味も濃い缶コーヒーを選んだ。
彼はちゃんと、コーヒーを飲んでいる。あたしはほっとして、自分もブラックをあけた。
正直ブラックはあまり好きではなかったが、味なんてどうでも良かった。これからの計画を思うと、緊張と興奮で喉はカラカラだ。
「出発しないの?」
ふいに横から声をかけられ、あたしはドキッとした。
動揺してはいけない。綿密な計画を立てた。失敗しても埋められるよう、ありとあらゆるケースを考え、ネットで調べ、何度も何度もシミュレーションを繰り返した。あたしはその計画通りに、ことを運ばなければならない。
「遙斗、明日何か予定ある?」
「いや、ないけど。なんで?」
「少しドライブでもしない? あたし、夜走るの好きなんだよね」