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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
コーヒーに投入したのは睡眠薬だった。薬が効くまで三十分程度。これはあたしと理恵が、実際何度か試しているから、間違いない。
三十分、彼を車に足止めしなければならない。
「ドライブに誘ってくるなんて、珍しいじゃん」
「そう? まあちょっと相談があって」
「ふーん、彼氏のこと?」
「……うん」
あたしはしおらしく頷いてみせる。
誘い方は不自然じゃないか。些細なことが不安になる。
「いいよー。途中寝るかもだけど」
「寝たら起こすよ」
あたし達は笑った。
遙斗はあたしより、五歳も年下の男の子だった。遙斗とはネットで知り合った。オンラインゲームを通して親しくなり、スカイプで話すようになり、携帯で連絡先を交換するようになり、実際に会って遊ぶようになった。
あたしはいつの間にか、遙斗を好きになっていた。あたしには大学時代から付き合ってる彼氏がいる。遙斗にも彼女がいる。どこにだってありがちな、報われない恋だ。
でもそれだけなら、どんなに良かったことか。異常なのはあたしの方だった。あたしの彼への思いは、単なる恋惚ではなかったのだ。