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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛
それから彼の寝息が聞こえるようになるまでは、本当にすぐだった。三分くらいだ。
車が揺れるたび、最初は小さく身じろぎしていたけれど、途中からそれもなくなって、熟睡するようになった。
「遙斗、寝た?」
完全に寝入ったか確かめるべく、わざと軽い調子で呼んだ。身じろぎ一つしない。完全に眠っているようだった。
あたしはハンドルを握りながら、携帯を取り出し理恵にかけた。
「……もしもし」
どこか怯えているように、不自然な間を空けて彼女の声がする。
「予定よりちょっと早いけど、遙斗寝たから。今から約束の場所に連れてく。二十分くらいかなぁ」
「杏子ちゃん」
「準備はできてる? 理恵んちからだと結構かかるよね。あたしは先に行ってるから、着いたら……」
「ねえ、杏子ちゃん」
「一応あたしとの履歴は全部消しておいてね。あたしと会うって悟られないよう、理由をつけて家を出」
「杏子ちゃん……っ!」
彼女の呼びかけには応じず一方的に話し続けていると、彼女は声を荒げて怒鳴った。おとなしい性格の彼女がそんなふうに大声を出すところなんて、今まで見たことがない。