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脳内妄想短編集
第3章 束縛愛

 それからしばらく車を走らせ、目的の廃墟に到着した。そこは昔は何かの工場だったようで、廃墟の中には鉄筋が崩れた跡が残っている。何かの事故だったのだろうか。
 人目に付かず、万が一彼が目を覚まし、暴れたとしても、すぐには逃げられない場所。誰かに助けを求めることが難しい場所。そこにぴったりの場所だった。
 あたしは理恵と二度ほど下見に来た。廃墟には古びた鍵が取り付けられていたけれど、鍵は錆び、かなづちで簡単に壊すことができた。
 あたしは廃墟の隣に車を停め、彼が起きないようそっと車から降りた。トランクを開け、白い布を剥いだ。そこにはあらかじめ用意しておいた、縄と軍手と手錠、耳栓、目隠し用の白い布があった。
 あたしは軍手をはめ、それらの道具を持って車から降ろした。助手席に眠る彼の元へと運んでいく。
 彼の体を片手で支え、彼の両手首を後ろに持っていき、手錠をかけた。その両腕ごと縄でぐるぐる巻きにし、縛る。白い布で目隠しをし、両耳に耳栓をした。
 ぐったりした彼の体は重く、かなりの労力を使った。だけどここまでしても、彼が起きる気配はなかった。
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