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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ
私は寝返りをうつフリをして、彼の上半身に腕をまわしました。彼の体が一瞬びくっとなります。首の辺りに私の唇があり、私の息遣いが、ダイレクトに彼の肌に伝わる距離に私の頭がありました。友梨香さん、と焦った声が聞こえましたが、私は無視しました。起きていることを悟られないようにするためです。
私の息がかかるたび、彼はびくびくと体を震わせていました。ティーシャツ越しにでもわかるくらいに、彼の体は汗ばんでいました。毛布を一枚かけなければ肌寒い、この時期にです。間違いなく媚薬の効果でしょう。
私は彼の体をまさぐりたい欲求にかられましたが、そこは我慢です。あくまで彼から私を求めてくるよう仕向けなければ、理由をつけて逃げられかねません。
私はバクバクとうるさい心臓の鼓動が彼まで伝わらないことを祈りつつ、寝たフリを続けました。
ふいに彼が私を振り向きました。私の胸元に頭を押し付けて、深い呼吸を何度も繰り返し、欲情を抑えようと必死な様子でした。媚薬の効果は、思っていた以上にあったようです。この様子だと、また勃起してしまっているのでしょうか。