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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ

 媚薬に限ったことではないですが、薬というのは口から摂取するタイプより、体に直接塗るタイプの方が効き目が大きいものです。口から摂取するものは、胃でその効力も消化され、半減してしまうのです。
 彼は昨日の夜から性欲を持て余しています。処理もしていません。そんな中、肌に直接薬が触れたら、どうなるでしょう。しかも職場で。
 今日は珍しく、私と彼のラインが被っています。一時に出勤、二回の休憩を挟んで十時までとなっています。つまり彼が一人になる時間はありません。ずっと熱をはらませたまま、処理をすることもできないのです。そんなの、拷問以外の何ものでもありません。
 私は彼の制服に薬がしっかり染み込んだのを確認し、制服をもとのように、彼のカバンにしまいました。それから彼を起こしました。

「友梨香さん。シャワー……浴びてもいいすか? なんか、寝汗かいちゃって」
「全然いいよー。昼適当に作っとく」
「あー、ども」

 考えてみれば、ヒモである彼に昼の用意を頼めば良かったのですが、私は今日の夜が楽しみだったのもあり、特にその時は気にしていませんでした。
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