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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ
そして、シフト上がりの夜十時。私は店長と従業員に挨拶をし、勤怠を押しました。
彼も店長に上がっていいか尋ねていましたが、店長はもう少し残ってとお願いしていました。混んでしまい、片付けが終わらないのです。こういう場合、社員が残されることはよほど人がいない時以外はほとんどありません。社員はバイトに比べ、人件費がかなり割高だからです。
わかりましたと頷く彼と店長の間に、私は割って入りました。
「今日、なんか体調悪そうなんですよ、ずっと。なんなら私が残るんで、その子は定時で上げてもらえませんか?」
「あー、そうなんか。まあ、人数的には六人いるし、大丈夫かな。おまえもいいよ、上がって」
私たちは頭を下げ、更衣室へと向かいました。
「……ありがとうございます」
「いいえー」
別に彼からのポイントを稼ぎたいわけではなかったのですが、今日は彼との最後の夜です。彼で遊ぶことのできる最後の夜です。
仕事なんかに邪魔されたくはありませんでした。彼はやはり顔を真っ赤にし、熱っぽい瞳をちらりと私に向けて、男子更衣室へと消えていきました。