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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ
「風呂場、借りていいですか? ……下着洗いたい」
伏せ目がちに、つぶやくように言いました。私は頷きました。
彼の表情からは、彼の気持ちが読み取れません。車内で私に無理やり何度も射精させられ、下着を汚され、屈辱的な気持ちでいるはずなのに、妙に冷静なのです。そのせいか、その時の私には、謝ることも弁明の言葉を考えてることもできませんでした。
私たちは彼の車を降りました。
そこで彼は言いました。
「もう一つ、お願いがあります。……夕飯の買い物してきてください。俺が作るんで」
「あ、はいよわかった」
そこでようやく、彼の気持ちを少し汲み取れました。彼はおそらく、一人になる時間が欲しかったのです。自分の精液で汚れた下着を洗うところなんて、女性に見られたくはないはず。それも汚した張本人に。当たり前です。少なくとも、その時の私はそう解釈しました。
私は玄関の鍵を開け、手だけを急いで洗い、スーパーに急ぎました。
時計を確認すると、すでに十一時をまわっています。近くのスーパーは閉まっていました。私は車を走らせ、少し遠い、二四時間営業しているスーパーへと向かいました。