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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ

 彼が作ると言いましたが、時間も時間だったため、私も手伝いました。職場で話す時のように、彼は普通に生意気でした。私は車でのことを謝ろうと最初考えましたが、タイミングが掴めず、今さらそのことには触れない方がいいと考え、その時の話は一切持ち出しませんでした。私は安堵していました。
 念のため、隙を見て部屋のビデオカメラを確認しましたが、やはり彼に見つかった様子はなく、電源が切れたままそこにありました。彼がいじった痕跡もありません。
 すき焼きができました。

「俺、お茶煎れますよ」
「ありがと」

 テーブルの上には鍋。せっかくなのでお言葉に甘えると、彼は台所に消えていきました。
 数分でお茶を淹れて戻ってきました。私たちは、だいぶ遅い夕食を食べました。

「あーあ。こんな時間にすき焼き食べたら友梨香さん太りますね」
「あんたの要望でしょーが」

 こんなふうに、軽口を叩き合いました。それからふいに彼が言いました。

「てか風呂入らないんすか。俺さっき入っちゃった」
「あー、うん入る。朝だと面倒になっちゃうし」
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