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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ
私は立ち上がり、浴室へと向かいました。もう懲りた私は、さすがに彼に背中を流してとは言いませんでした。イタズラする気も、いじめる気も、何一つありませんでした。今日彼を泊めたら、あとは何事もなかったように、職場のバイトと社員という関係に戻ろうと、虫のいいことを考えていたのです。
脱衣場で脱いでいると、食器を洗う音が聞こえてきました。彼が洗ってくれているようでした。
私は浴室に入り、体を流し、髪を洗いました。流し終え、コンディショナーをつけ、それから体、顔を洗い、最後にコンディショナーを落とし、湯船に浸かって出る。それがいつもの私の風呂の流れです。その日もコンディショナーをつけました。
そしてふと、特に意識したわけでもないですが、顔を上げ、ビデオカメラがセットしてある場所に目を向けたのです。
「……え?」
血の気が引くような思いでした。昨日の夜までは確かにあった、隠しカメラがなくなっているのです。もちろん私は片付けていません。いじってすはいません。そうなると、考えられることは、たった一つしかありません。