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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ

 思わず枕で頭を叩くと、彼はひとしきり笑っていました。

「言ったじゃないですか。カメラや媚薬の件、気付いてても言わなかったのは、友梨香さんと同じ理由だって。俺も友梨香さんの体に興味があったんです。どうにかして、バレずにいろいろできないかなーって。だけど俺から手を出すには、いろいろと不利じゃないすか。特に男だし」
「カメラや薬をつきつけて、脅せばよかったのに」
「……やだよそんなん、余計気まずくなるじゃん。無理やりとか好きじゃない」
「付き合ってって言えばいいのに」
「……どんだけ上から目線なんすか。彼女いらない、面倒くさい」
「あんたもどんだけワガママなんだ」

 それは前々から、彼が言っていたことなのでした。私は吹き出しました。結局全てが終わってしまえば、お互い腹の探り合いをしていただけなのでした。そして彼の方が、一枚も二枚も上手(うわて)だったようです。

「ごめんね、無理やりいろいろしちゃって。あんなに媚薬の効果がすごいと思わなくて」
「あー、俺も。あんなんなると思わなくて、すみません」
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