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脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン
それをなんであたしが。
「真弓が教えてあげればいいじゃん」
「あたしは無理よ、祐也と休み合わないし」
真弓はサービス業。飲食店で働いている。職種が職種なだけに、基本的に土、日、祝日は休めないのだ。それに対してあたしは公務員。カレンダー通りの休みだ。
「ねえお願い! 今日パフェ奢るからさー!」
「無理だって! 泳げない子に泳ぎ教えるならまだしも、水が苦手な子にどうやって教えたらいいかなんてわかんないもん。そういうのって精神的なものでしょ? カウンセリングでも受けさせなよ」
正直あたしには、荷が重い。真弓の弟さんとだって、小さい頃真弓の家に遊びに行った時、何度か顔を合わせた時に軽く挨拶したことがある程度で、顔すらまともに覚えていないのだ。そんな子にいきなりプールで泳ぎを教えるなんて、気まずすぎる。
「カウンセリングとか大げさだよ。もともと泳げるんだから、ちょっと水に慣れれば平気だと思うんだよ。ふとしたきっかけで、多分克服できると踏んでるんだよあたしは」
「そんなこと言われてもなぁ……」