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脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン
あたしは頭を抱えた。
真弓はいろいろと、弟のことを説明してくれた。溺れた直後は酷いもので、一人でお風呂に入ることもできなかったのだと言う。真弓が一緒に入って面倒を見ていたのだと。だいぶ克服して日常生活を送ることはできるようになったけど、やはりプールはまだ怖いのだという。
真弓は今年二三。弟さんとは十歳以上年が離れているのもあり、だいぶ過保護なところがあった。真弓の話題でたまに出てくる弟さんの話を聞けば、それがよくわかる。だけど、水が怖いというのは、初耳だった。
「一生のお願い! 璃子だから頼んでんのよー!」
「…………あーもうわかったよー」
あたしは白旗を上げた。
「引き受けるよそれ。でも祐也くんの水恐怖症を治せる自信はないからね! 失敗しても文句言うなよ!」
結局克服できなかった時、あたしのせいにされたらたまらない。あたしはそう念を押した。
「わーありがとう! 璃子なら絶対引き受けてくれると思ったよ!」
「もー、相変わらず調子いいんだから」
あたしはふん、と鼻を鳴らした。そういうところは昔から少しも変わっていない。