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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ

 洗濯という単語を出すと、彼はわずかに顔を赤らめた気がしました。
 その日、私は彼より三時間ほど早く上がりました。先に家に帰ると、きちんと掃除してありました。
 洗濯も終えていて、部屋にきちんと並べて干してあります。もちろん下着も。
 お風呂も洗ってありました。ついでに冷蔵庫の中を見てみると、賞味期限切れのもがいくつか捨てられ、綺麗に収納されていました。
 ここまできちんとやってもらえるとは。正直驚きましたが、彼を三日間だけヒモにしたのは、もちろん別の下心のためです。
 私は盗撮用のビデオの電源を切りました。そして軽い夕食を作り、彼を待ちました。
 今日は土曜日ということもあり、店は混んでいました。彼がバイトを終え私のうちに帰ってきたのは、深夜の十二時をまわった頃でした。

「おかえり。夜食作ったよ、食べる?」
「あざーっす」

 甘いものが好きという彼に、ホットケーキを焼いておきました。太りそうなものですが。
 コーヒーを二人分煎れ、二人でそれをつつきながら、ひと息つきました。ただしこのコーヒーにも秘密があります。彼のコーヒーにだけ、催淫作用のある粉薬を――つまり媚薬を入れてありました。
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