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脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン
体を固くしてはいるものの、拒否はしてこない。彼の唇は想像通り柔らかく、水に濡れて冷たかった。唇を離す。
とろけそうな表情をしてるから、つい吹き出してしまう。
「キスしたことない?」
「ないですっ」
「じゃあファーストキスだ」
彼の顔がさらに真っ赤になる。
あたしはそんな彼をからかうように、何度か彼の唇に唇を押しつけた。軽いキスを繰り返す。
「璃子さ……」
「いや?」
「嫌っていうか……」
また唇を触れ合わせる。上唇と下唇で彼の唇を挟み、そっとこすり合わせた。その後は、舌を出して唇を舐める。彼はされるがままだった。そうして少しの間キスを続けていると、強張っていた彼の体から徐々に力が抜けていった。
一分ほどして、ようやく唇を離す。
「ほら、今少しだけ、ここが水の中だって考えないでいられたでしょ? 落ち着いた?」
「……はい」
あたしは笑ってみせた。欲求に任せてキスをしてしまったのも事実だけど、彼の気持ちを落ち着けるために有効な手段だとは思う。あたしは彼から一歩離れた。
「よし! 少しだけ顔、水につけてみる?」