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脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン

 キスをしながらゆっくり、ゆっくりと、彼の体を水中へと引き込んだ。
 口元まで水中に沈むと、あたしの腕を掴む手に、力が入った。あたしは彼の手を握ってなだめる。
 二秒ほどで、すぐにまた水面に顔を出した。ずっとキスは続けたままだ。

「大丈夫?」

 唇を離して問いかけると、こくん、と彼が頷く。
 あたしは彼の唇をぺろりと舐めた。塩素の匂いは、少しも気にならなくなっていた。
 彼の唇に唇を合わせ、欲しいまま味わう。唇で食(は)み、舌先で舐める。何度も。
 水着の中で、秘部から蜜が溢れるのがわかった。あたしは彼に欲情していた。
 彼の舌が、あたしの上唇を舐める。今までただ受け入れるだけだった彼が、初めて自分から、あたしとのキスを求めてきた。その事実が、さらにあたしを興奮させた。
 ふいに彼の手が、あたしの胸をかすめた。

「あ、ごめんなさ……」

 慌てて手を引っ込める。

「触ってみる?」
「え……」

 耳元で囁き、彼の手を握って自分の胸へと誘導した。触ってほしくて、うずうずしていた。
 彼の返答も聞かず、またキスを仕掛ける。
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