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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ
「……俺がやるからいいですよ。洗ったら浴室行くんで、先入っててください」
そのまますっぽかすつもりなのか怪しみましたが、私は一人浴室に向かいました。そこにも隠しカメラがあります。曇らないよう特殊なレンズが嵌めてあるカメラです。私は電源を入れました。
食器を洗う音が聞こえはじめ、やがて音が止むと、彼が浴室の隣の脱衣場に現れる気配がしました。
「入ってきていいよー」
「何馬鹿なこと言ってんすか。酔ってんの?」
浴室の磨り硝子のドアが、半分ほど開きました。彼はためらいぎみに中をそっと覗いていますが、服は着たままでした。
「服着て入る気?」
「いや、だから入りませんて。背中流すだけです」
私は彼の前に座り、背中を向けました。
彼はズボンのすそを捲り、左手にシャワー、右手にタオルを持って、私の背中を洗ってくれます。しかし視線はやはり、私の体からはそらされていました。
力加減がわからないらしく、私にいちいち尋ねてくる様子が可愛いです。
「ねえ、濡れるでしょ? 上だけでも脱いだら?」