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脳内妄想短編集
第1章 ヒモ

 かなり動揺しているようでした。私はいつもと調子を変えていません。だからこそ、余計に戸惑っているようでした。

「いや、いいっすよ。俺、友梨香さんのあとで入るし」
「女の裸くらい見たことあるでしょう、これくらいで何照れてんの」

 頑なに拒否の意を示す彼に、私はだんだん面倒になってきました。やや強引に 誘い込もうと強めに言いました。
 しぶしぶではありますが、ようやく彼は上に着ていたパーカーとティーシャツを脱いでくれました。

「じゃあ、前も洗って」
「はあっ? もうマジ勘弁してくださいよ」
「私のヒモでしょう? ほら、早くしないと私が風邪引いちゃう」
「……馬鹿は風邪引かないっていうし、大丈夫でしょ?」

 渋って逃げようとする彼に、私は説教を始めました。軽はずみにヒモになるなんて言ったこと、ヒモになったくせに、こんなこともできないくらい根性がないのかと。また、女性の裸くらいで何を動揺しているのかと、延々と説いてあげました。ムードのカケラもありゃしませんが、正直普段の私のキャラなんてこんなものです。
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