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脳内妄想短編集
第2章 水中レッスン

「……彼氏さんとも、いつもあんなエッチしてるんですか?」
「しないよー普通のしか。そもそもあいつ、Mじゃないし……」

 そこまで答えて、あれ? と思う。

「あたし、裕也くんに言ったっけ? 彼氏いるってこと」
「多分、言ってないです。姉ちゃんに聞いた」
「ああ、なるほど」

 合点がいった。考えてみれば真弓の弟なんだから、あたしの情報がある程度伝わってるのは別に不思議なことじゃない。

「よく電話してるでしょ? 姉ちゃんの部屋、隣で壁が薄いから、たまに聞こえるんです」
「最近してなかったけどね。前は結構してたかも」

 よく彼氏のことを愚痴ったり、相談したりしていた。もちろん話題はそれだけじゃないけれど。くだらないことで、頻繁に長電話していたような気がする。
 そうだ、あたしには彼氏がいる。プールでのあの出来事は、出来心とはいえ完全に浮気だよなーなんて考えた。嫉妬深くて寂しがり屋の、不器用な優しさを持つあの人を、裏切ってしまったのだと思うと、さすがに少し心が痛んだ。
 その時ふいに、彼が言った。
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