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第1章 プロローグ

やよいは抗えない苦痛に身を委ねていた。
逃げ場のない痛みは鋭い刃となり、彼女の理性を容赦なく削ぎ落としていく。
鞭が乳房に叩きつけるたびに胸を締めつけられる圧迫感が増し、次第に意識の端が薄暗くぼやけていった。
鞭の一撃ごとに、皮膚を裂くような衝撃が全身に響き、彼女の心臓は恐怖と苦痛に駆られて激しく脈打つ。
叫びたくても声にならない。喉の奥に紫煙が絡みつき、舌を麻痺させる苦味が言葉の出口を塞いでいた。
ヒューンッ！――バチ～～～ン！
視界の隅で揺れる権蔵の鞭が次の一撃を告げるたび、全身が硬直し、体中の毛穴が汗を噴き出す。
痛みの波は、ただの苦痛では終わらなかった。
それは容赦なく脳幹を刺し、神経を暴れさせながら、やがて奇妙な熱を生み出していく。
切り裂かれるような激痛の中で、身体の奥底から不気味な快感が沸き上がり、自分の中で何かが崩れ落ちていく感覚に襲われる。
呼吸はさらに乱れ、口から漏れる息さえも苦しみに満ちている。
鞭による激痛は、心を無防備な状態に引き裂き、歓喜へと変化していく・・・。
心の奥底では拒絶の声が響くも、それに反して、身体の奥深くで熱が広がり、それは鈍い波動となって子宮を揺さぶる。言い知れぬおぞましい快感が彼女の背筋を駆け抜けるのであった。
心で悲鳴を上げるが、その裏で蠢く熱は広がり、子宮を震わせる鈍い波動は彼女を支配していく。やがて、その熱は彼女の陰核に注ぎ込まれ、熱が炎を灯し、否応なく興奮を引き起こしながら、全身をかき乱していった。

混乱と恍惚が混じり合う中、やよいの心は次第に痛みと快楽の境界を見失い始めていた。
喉の奥を苦しめる紫煙、舌にこびり付く苦み、鼻の奥を通り抜ける焦げ臭い匂い、葉巻が倒れないようにこわばる唇。
緊張が緩む隙すら与えられない状況を、彼女は我慢から快楽へと昇華していく。
権蔵の冷徹な視線が彼女の苦悶を舐めるように追い詰め、その場の空気は張り詰めた緊張に包まれていた。
落ちる灰を払うこともできず、彼女はただ必死に耐える。
切迫する状況に心は張り裂けそうになるも、激痛が彼女を容赦なく現実に引き戻し、ただ従うしかないという絶望感を突きつけられている。
しかし、痛みと快楽が絡み合う混沌の中で、やよいは自身の意識が、何を望んでいるのかは明確に判っていた。
それは、権蔵による無情な加虐的な行為をもっと欲していることだった・・・。