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おじいちゃんをお風呂に入れるのは
第1章 おじいちゃんをお風呂に入れるのは
 そうして再び前を向いて、目を細めたとき。

「……きゃっ!」

 私の胸に、横から触れるものがあった。

 見てみると、私の胸の双丘に誰かが手を伸ばして揉んでいる。


「あっ……」

 いきなり頂点を|摘《つま》まれて、私の口から切ない声が漏れた。


 思考を整理する。

 今、湯船にいるのは私ともう一人だけ。

 こんなことができるのは、その人しかいなくて。

 だから今、私に触れているのは。


「おじいちゃん……?」

 おじいちゃんが顔に笑みを浮かべて、私の胸に手を伸ばしている。


「ちょっと、ねえ、おじいちゃん……」

 苦笑いを浮かべてそう言ってみても、おじいちゃんは手を動かすことをやめない。


「ん……ああん……」

 こんなことを思っている場合ではないけれど、感じてしまっている。


「おじいちゃん、だめよ、こんなこと」

 少し強めに叱ってみても、おじいちゃんはにこにこと笑みを浮かべて私に触れ続けている。


(どうしよう……)

 ここでおじいちゃんを振り払ってみてもいいけど、おじいちゃんを傷つけたくない。

 それに、認知症になってもおじいちゃんは男の人だ。

 女の人への興味は残っているだろうし、私みたいな若い女の子ともなればなおさらだ。

 今少し我慢することぐらい、私にもできる。

 だったら。


(胸ぐらいなら、触らせてあげても……)

 そう思った瞬間、おじいちゃんはひときわ強く私の胸を揉みしだいた。


「ああっ……」

 そうしてなし崩し的に、私はおじいちゃんに胸を触らせてあげることになった。
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