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愛欲ハーレム・妄想の処女〜琴葉【官能作家・霧山純生の情事】
第16章 鷹月マリア
数年前、国の施策やら社会批判やらのせいで、進歩も進化も封じられた、時代に取り残された感のあるソープランド業界について取材を申し込んだ際に、彼女と知り合った。豊かな胸の女だ。緩いウェーブのかかったショートボブの髪を明るい茶色に染め、シャープな顎のラインが少しきつい印象を受けた。
取材させてくれたお礼に、トロピカルの太客としてしばらくのあいだ通ったのは言うまでもないだろう。
一度だけ、鷹月マリアを食事に誘った。箱根にあったオーベルジュ・ブランシェというホテルのディナーへ、彼女を車に乗せて行ったことがある。ディナーの席に着いたマリアが、
「ふうん。良い趣味ね」
そう言ったあとに、
「気取りすぎだけど、悪くない」
余計なひと言を付け加えた。ディナーを終えたあとは……言うまでもないだろう。
そのオーベルジュ・ブランシェも今は無い。道路拡張のために土地を接収され、取り壊された。今は、だから、あの夜の記憶は、私と彼女の中にしかない。彼女が覚えていれば……だ。
「それで今日は何のご用かしら。まさかデートのお誘いじゃないわよね」
「……ああ、そうだね」
取材させてくれたお礼に、トロピカルの太客としてしばらくのあいだ通ったのは言うまでもないだろう。
一度だけ、鷹月マリアを食事に誘った。箱根にあったオーベルジュ・ブランシェというホテルのディナーへ、彼女を車に乗せて行ったことがある。ディナーの席に着いたマリアが、
「ふうん。良い趣味ね」
そう言ったあとに、
「気取りすぎだけど、悪くない」
余計なひと言を付け加えた。ディナーを終えたあとは……言うまでもないだろう。
そのオーベルジュ・ブランシェも今は無い。道路拡張のために土地を接収され、取り壊された。今は、だから、あの夜の記憶は、私と彼女の中にしかない。彼女が覚えていれば……だ。
「それで今日は何のご用かしら。まさかデートのお誘いじゃないわよね」
「……ああ、そうだね」