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愛欲ハーレム・妄想の処女〜琴葉【官能作家・霧山純生の情事】
第16章 鷹月マリア
 再び沈黙したマリアへ、麗奈が氷見家のひとり娘であること、現役の大学生であることを伝える。

「ずいぶん必死じゃないの。霧山先生」
「そうかな」
「そうよ。その麗奈という子は霧山先生にとって大切な存在なのね」
「……うむ」
「それならどうして? なぜ止めないの?」

 問われて返答に窮した。

「うちのお店に在籍している子たちは、みんなそれぞれに事情がある。ただね。共通しているのは、お金を稼ぎたいっていうことなのよ」
「そうだな。知っているよ」
「でも麗奈という子はそうじゃない」
「うむ。金には困っていないな」

 マリアが沈黙した。私も黙る。伝えるべきことは伝えた。

「ねえ、霧山先生」
「なんだ」
「わたしにノーと言って欲しいんじゃないの」
「なん……だと」
「そんな冷やかしみたいな子は、よそを当たってと言って欲しいんじゃないの」
「そ、それは……」

 図星を刺されてみっともなく狼狽えた。

「ふふふ」

 マリアが笑う。さも可笑しそうに笑われた。

「会ってみるわ。その女の子に」
「えっ」
「興味が湧いた。霧山先生がそれほどにご執心な、その麗奈という子に会ってみたい」
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