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愛欲ハーレム・妄想の処女〜琴葉【官能作家・霧山純生の情事】
第20章 妄想の乙女〜処女のたくらみ
「処女には無理だ。男に抱かれたことがないのにリアルなセックスは描けまい」
「で、でも、そこは妄想で……」
「抱かれた腕の力強さ、男の身体の筋肉の感触とのしかかるその重み、肌の熱さ、ささやく吐息の熱と汗の匂い、官能のリアルを知らないきみには不可能だ。妄想は妄想でしかない」
「うっ……」

 再び頬を赤く染めた娘は、初々しい風情でうつむいた。

 ……麗奈ならここで「いじわる」とかつぶやくだろうな。愛らしい麗奈なら。

「きみは官能というものをどう捉えている?」
「どうって……」
「エロスとは何かと聞いている。きみなりの答えで構わない」

 我ながら意地の悪い質問だと思う。私とて聞かれたらすぐには答えられない。そんな難問をこの処女の娘にぶつけるとは。

 うつむいていた琴葉が顔を上げた。小さな声でこう言った。

「……霧山先生は色気があります」
「ん?」
「大人の……男の人の……」
「それはエディプスコンプレックス……」
「違います。そんなありきたりの解釈を霧山先生ともあろう人が言うなんて」

 言いかけた途中で、強い口調で否定されて肯定された。

 処女に男の色気なるものがわかるのか?
 はなはだ疑問だ。
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