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未亡人玩具
第2章 別荘
 金持ちとは、やはり凄いものだ。
 別荘というから小さなログハウスのような建物を想像していたのだが、小百合の想像を遥かに超えた豪邸だった。純和風建築で庭の池には鯉が泳いでいる。しかも、お風呂は天然温泉だと言う。
 「クリスマスパーティーをやるにはそぐわないんだが…」と社長は笑っていたが、小百合が案内された二階の一人部屋にはお風呂もトイレもついていて超高級旅館のようだった。 料理も全て用意されているとのことで、荷物を置いたらすぐに飲みましょうと言われた。
 四人の社長たちは何度かここに泊まったことがあるらしく慣れたものだった。乾杯をして料理を楽しんだあとは、カラオケを歌ったり交代で温泉に浸かったりしていた。この数時間、小百合は今までのお礼を何度も伝えることができて気持ち良く酔うことができていた。もう5時間も宴会をしているのだから、小百合もだいぶ飲んだはずだ。
 普段は紳士的な社長たちも今日は気分良く羽目をはずして、少し突っ込んだ質問をぶつけてきた。
「小百合さんはここ三年、ご主人と会社のことしか考えて来なかっただろうけど、これからはどうするんだい?」
「まさか、ずっと独身というわけにもいかないだろう」
そんな会話が続き、夜の欲求だってあるだろうと一人が言ったことで小百合は泣き出してしまった。お酒もまわっていたし、今までの苦労や感謝なども込み上げて来て感情が高ぶっていた。

「いやぁ、すまない!忘れてくれ!」
と慌てる社長たちに
「いえ、違うんです。怒ったり悲しんだりしているわけでもないのです。ただ、なんだか色々な思いが込み上げて来て…たしかに夜の欲求が無いと言ったら嘘になります。でも、主人以外の人と再婚など考えられません…」
 
少し涙を流す小百合は美しかった。その場にいた四人全員が胸を打たれた。

「時々ね、完全に秘密が守られて体の欲求だけ叶えてくれるところがあればいいのに、なんておかしなことを想像してしまうこともあるんですよ、馬鹿ですよね」

その言葉にみんな心臓がドキッとした。
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