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こんなに晴れた素敵な日には先輩の首を絞めたい
第6章 第5話 誰にも言えない秘密
「とりあえずどこに行こうか。日比谷先生お腹空いてる?」

 不自然にならないように距離を空け、肩を並べて歩き出した私に嶋田先輩は上機嫌でそう尋ねた。

「僕はどこでもいいかなあ、その辺のお寿司屋さんにでも入ろうか。アレルギーとかない?」
「私は別にお腹空いてないです。あと人に見られると困るのでお店なら個室がいいです」
「個室ねぇ……スマホで調べないとどこが個室の店か分かんないな。そうだ、適当にその辺のお店でテイクアウトしようか。それを個室で食べればいいし」
「個室? カラオケボックスとかですか?」
「そんな訳ないでしょ、ほらここにある」
「っ……!」

 先輩が路上で立ち止まり指差した先には、薄暗い街角に面したラブホテルの看板があった。


「ふ、ふざけないでください。どうして私が先輩とラブホテルに……」
「だって先生お金欲しいんでしょ? まさか僕とご飯食べただけでお金貰えるとか思ってないよね?」
「なっ……」

 パパ活はそういうものでしょうと怒鳴りそうになったけど、嶋田先輩は私をラブホテルに連れ込むことに何の心配も緊張も感じていないようだった。

「人を馬鹿にして……出るとこ出ますよ? こんなことが病院に知られたら、先輩の立場だってどうなるか……」
「ああごめん、最初に言っとくけど僕は日比谷先生とセックスをしたい訳ではないです。彼氏のいる同僚に手を出すなんてリスキーなことは僕は絶対にしない。ただ、一つお願いしたいことがあるのは確かです。これは本当に嘘じゃないからね」
「はあっ……?」

 嶋田先輩の口からセックスという言葉が出た瞬間に顔を真っ赤にした私は、続く言葉に疑問符を浮かべた。

 先輩は私をラブホテルに連れ込みたいけどセックスをしたい訳ではなく、一方で密室で私にさせたいことがあるという。
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