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こんなに晴れた素敵な日には先輩の首を絞めたい
第12章 第11話 幸せの時間
 その日は実家の最寄駅のベンチで一夜を過ごした。

 途中で巡回の警察官が自転車を押して歩いてきたので一旦物陰に隠れた以外は誰と遭遇することもなくて、始発が動き次第私は大阪に向かう電車に乗り込んだ。


 始発の電車でいつもより早めに職場に着いて、研修医当直室でシャワーを浴びて身体を洗った。

 そして私はあんなことがあった翌日も普通に循環器内科の研修医として働いて、18時過ぎに仕事を終えて再び私服に着替えた。


 今、行きたい所は一つしかなかった。


「……もしもし、日比谷です。今お時間よろしいでしょうか」
『あれっ、日比谷先生。こんな時間にどうしたの、しかも直接かけてくるなんて』
「いいから教えてください。……今から先輩の家に行ってもいいですか?」
『はいっ、僕の家に来るの!? いやそれはちょっと……ホテル代なら気にしなくていいよ? 今は掃除もできてないし』
「お願いします、先輩の家に行きたいんです。……本当にお願いします」
『……分かった。SMSで住所を送るからいつでも来てください。僕もあと5分ぐらいで家に着くので』

 そう言うと自分から電話を切った嶋田先輩は、ちょうど職場からの帰り道だったらしい。


 何がしたい訳でもなかった。これ以上他人に愚痴を聞いて欲しい訳でもなかった。

 私はとにかく先輩に会いたかった。
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