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女旅芸人衆の淫ら旅
第7章 出雲へ
乗り気ではないが、座長が行くというのだから、臨時とはいえ、一座の専属医なのだから着いていかなければならない。
一人だけ陸路で出雲に向かうというわけにもいかない。
それに聞いたところによると、長州藩(山口県)は倒幕にいきり立って、尊皇攘夷の関係で荒れまくっているというし、どうも陸路で向かうのは止めておいた方が無難だと思えた。
「次の行き先は決まりましたか?」
浜辺から帰ってきたお瞭さんが努めて笑顔でそう訊ねた。
笑顔ではあるが、皆に背を向けて、一人で海を眺めて一通り泣いたのだろう。その目は真っ赤に充血していて痛々しいほどだ。
泣いていたのかい?などと聞けるはずもない。
必死に作り笑顔をしているお瞭さんのためにも、「目が赤いぞ」などと言えるはずもなかった。
「今度は出雲に向かうそうだ」
「出雲?出雲って、あの大社の?
あそこってさぁ、縁結びの神さまなんでしょ?
それじゃ真剣にお参りさせてもらわなきゃ」
わざわざお参りせずとも、僕という者が寄り添っているではないかと言うと、
「先生はあっちにフラフラ、こっちにフラフラするから深い縁を結べそうにもないのよね」とつれない事を言う。

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