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女旅芸人衆の淫ら旅
第7章 出雲へ
「あ、いや…私たちは夫婦…」
夫婦ではないと言いかけて、良案は慌てて口をつぐんだ。
あくまでも世間的には夫婦と思っていただいた方がなにかと便宜がよいと思った。
「私もね、あなたたちの年頃には、将来を誓いあったおなご(女)がいたんですけどね…」
「その方とは夫婦にならなかったんですか?」
「いえ…恥ずかしながら、当家の先代に猛反対されましてね…駆け落ちまで考えたのですが、心を通わせたそのおなご(女)が老舗旅館の灯を消してはいけないと、身を引いて行方知れずなんです」
「では、親の決めた女性と身を固めて旅館を継いだと?」
「滅相もない、私たちの想いは、はい、では次というように心を入れ替えるなんて無理なほど私はそのおなご(女)を慕っておりましたから、別のおなご(女)を嫁に娶(めと)るつもりなどこれっぽっちもありませんでした。
お陰で50になった今でも、誰とも婚姻せずに独り身のままです」
今なら先代も亡くなって、あのおなご(女)が帰ってきたら今すぐにでも所帯を持ちたいとわずかな希望を胸に生きておるのでございますよ
そう言って話しかけてきた男は遠い目をして、若かりしころ、心を通しあったおなご(女)を思ってか、涙目になった。

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