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女旅芸人衆の淫ら旅
第7章 出雲へ

お瞭さんが指摘したとおり、旅館を営んでいる清吉(せいきち)さんという男が、過去にお絹さんと恋仲にあった事がわかった。

昔を偲んでゆっくりと話をしたいと、清吉さんが営む玉造温泉の宿に一座の面々はお世話になることになった。

「ご迷惑なんじゃありませんか?」

30年の月日は、あれほど親しかった二人をすっかり他人行儀にしてしまい、まるで初めて出会った人のようにお絹さんは清吉さんに丁寧な話し方をした。

「いえいえ、今は長州藩がゴタゴタしているものですから、山陰を訪れる客もなく、ご覧の通りの閑古鳥ですよ」

清吉さんの言うように、人気の温泉街も浴衣を着て闊歩する人もなく寂れていた。

「だから、客室はイヤと言うほど空いているんです
一座の若いおなご(女)衆が来てくれれば、少しは温泉街に活気が出るというものです」

半日ほど歩く距離ですが、玉造温泉は美肌の湯ですからね、座員の皆さんのお肌もピチピチになること間違いなしです

ずっと心に思い続けていたお絹さんに再会出来たことで、清吉さんは饒舌になり、背筋もシャンと伸びて惚れぼれするような色男に変わって行く。

「宿賃の方は大丈夫なんですか?」

良案は一座の懐具合が心配になり、ソッとお絹さんに近寄って耳打ちしてみた。

「安心なさい、延岡の地頭さまがたんまりと駄賃をくれましたからね、一泊や二泊はどうってことはないよ」

そう言って微笑む彼女の顔は心なしかいつもよりにもまして若々しかった。
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