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女旅芸人衆の淫ら旅
第7章 出雲へ

「あの子達、温泉ではしゃいでるわ…」

庭園の露天風呂からおなご(女)たちの嬌声が聞こえてくる。
その声に旅館の旦那である清吉からの視線を逃れるようにお絹は格子窓を開けて階下の露天風呂を覗き込む。

「あんなにはしゃいでる声を聞くのは久方ぶりだわ」

「お絹さんが雑技団を旗揚げしているなんて夢にも思わなかったよ」

さりげなくお瞭の隣に佇んで、同じように窓から下を覗く。

「温泉は部屋から見えなくしてあるんですね?」

「ええ、これでも公序良俗にはしっかりしている旅館なんです」

すぐ隣で清吉が立っているものだから、お絹は慌てて彼から離れた。

「会わないうちにすっかり嫌われてしまったかな?」

「いえ、嫌いになどなっていません…
ただ、こうして男とおなご(女)が寄り添っていたら女将さんに悪いじゃないですか…」

「女将?ああ、妻などおらぬから余計な心配はせぬともよい」

「えっ?女将さんがいない?
もしかして先立たれてしまわれたの?」

「いや、端から(最初から)おらぬ」

「どなたも…娶らなかったの?」

「私にはお前しか心に居なかったからねえ…」

「そんな…」

「今からでも遅うはない…どうだ?私と夫婦になってくれぬか?」

そう言って清吉はお絹を抱きよせた。
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