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女旅芸人衆の淫ら旅
第9章 旅立ち~新たなステージへ

温泉旅館の朝は早い。
客人はまだ深い眠りに落ちている頃から厨房を預かる板前の権蔵は白い割烹着に身を包んで米を炊き始める。

そこへ「おじちゃん、おはようございます」と昨夜、夕餉(ゆうげ)をこしらえる手伝いをしてくれたお袖とお駒の二人が「朝餉(朝食)も手伝います」と足を運んでくれた。

「いいよ、いいよ、こんな朝っぱらから無理に起きなくても…まだ眠いだろ?」

「ううん、眠いけど、おじちゃんと料理をするのが楽しくて仕方ないの」

そんな可愛い事を言ってくれると嬉しくて仕方ない。
そこで、昨夜から寝ずに考えていたことを口にしてみた。

「なあ…おじちゃんの弟子になって板前を目指してみねえかい?」

「本当に?いいの?…あ、でも…座長さんが一座を抜けさせてくれるかどうか…」

そうか、そうだったな…

よくよく考えてみれば、この子達は旅回りの芸人さんなんだから、ひと所に腰を落ち着ける訳にはいかなかったんだよな…

でも、自分がこの子たちの見受けになれば一座を抜けさせてもらえるかもしれない。
見受け金はいかほどだろうか?
少しは蓄えがあるものの、べらぼうな金額を申し付けられたら諦めるしかないか…
それでもダメで元々なのだから、願い出てみるかと権蔵は意を決した。

やがて東の空がぼんやりと明るくなってきた。

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