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女旅芸人衆の淫ら旅
第3章 延岡へ

「ごめん!!」

良案は取り押さえようとする奉公人の手を振り払って、
怪我人の包帯を外した。

真剣で切られた傷は軟膏で塗り固められ、瘡蓋(かさぶた)が出来かけていたが、患部はかなり腫れていた。

「これはいかん!化膿しておるではないか!」

良案はお瞭にメスと針と絹糸を煮沸して消毒しろと命じた。

「台盤所(キッチン)はどこですか?」

お瞭に睨まれて、取り押さえる事さえ忘れて、奉公人は「こちらでございます」とお瞭を連れて台盤所に案内した。

「何事だい?何が始まるんだい?」

医学に無知なお絹は当家の者たちと一緒になって狼狽えた。

「傷が化膿しておる、膿を出さねば身体中にばい菌が広まって命が危ないのだ」

良案は医療器具の入っている鞄から、透明な液体の詰まっている小瓶を取り出した。

「なんだいそれは?蘭方の薬かえ?」

良案の手元を覗き込んだお絹がお伺いをたてる。

「これは、ドクターから譲り受けたウオッカなる酒だ
これで傷を消毒する」

皆が不安そうに見つめるなか、良案はウオッカを傷口に垂らした。

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