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Deep Throat - ディープスロート
第2章 葬儀
田所修は大学卒業後、大手新聞社に入社し、当時から外信部内でもアメリカ行きを切望していた。911テロに巻き込まれた日本人を取材し、記事にしていた。若くしてワシントン支局勤務という出世街道に乗っていたが、当時の支局長と反りが合わず、日本に帰国。自身のやりたいことと、会社の期待とに乖離(かいり)があり、30代後半で独立した。独立後は昭和・令和の未解決事件、政治関連、大企業の不正問題などの書籍、小説も出版したこともあり、さほど有名ではないが、世間にはそれなりに知られていた。

そんな友人との時間を田所は「仕事がある…」と途中で退席し、タクシーに乗った。新神戸駅に到着した時に、空模様が変わり、雨がポツポツと降り始めた。彼はホームで列車の到着を待つ間、やはり…という気持ちで空を見つめていた。どうして葬儀の日は雨が降るのだろう…と。

友人には「仕事がある」と言ったが、田所は早く東京に帰りたかった。車内でハイボールの缶を開け、車窓に当たる雨粒を見つめていた。京都、東寺の五重塔を右に見て、彩花との時間を振り返る。その後、トンネルの連続通過の際、猛烈なスピードでトンネルに入る音が、タイムマシーンのよう感じた。その度に現在から過去に想いを馳せる。彼女はどんな人生を駆け抜けたのだろうか…と。車窓の暗闇に彩花の笑顔が浮かんでくるようであった。目を閉じれば彼女の声が聞こえてくるようだった。
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