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Deep Throat - ディープスロート
第3章 BLACKMAIL
「はい…先生が著者なら…です…」

彩芽の手が伸び、田所のお茶椀まで求めていた。男は自身用の緑茶のお茶椀を、彩芽の手に届く所まで動かしていた。本当は田所も緑茶を口に含みたかった。いや、テーブルの上にある、高級ウイスキーを勢いよく飲みたい気分だった。

緑茶に少し口を付けた彩芽は続けた。

「もし無名の新人が…そんな刺激的な内容の小説を書いたら…どうなりますか…?世間はフィクションでは描ききれない…リアルな内容に…『誰がモデルなんだ…?』と興味を持ちませんか…?」

田所は畳に手を付いて、肩を撫でおろした。彼は彩芽にそこまでの文才はない、と判断したからだ。きっと売れない、世間は厳しく、そう簡単に思うように物が売れないことを、田所はよく理解していた。

「じゃあ、彩芽さん…君が書くんだね…?」
と彼女に確認を求める意味で尋ねた。

「いえ、書きません…先生がゴーストライターです…」

彩芽の言葉に田所は怒りを抑えるべく、深呼吸をして、目を閉じた。そして彼女を諭すように語りかける。

「彩芽さん…自分が何を言っているのか…きちんと理解しているのかい…?私は作家で…ゴーストライターじゃない…」
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