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Deep Throat - ディープスロート
第5章 危険な芽
田所は彩芽の姿を見つつ、彼女の母である彩花との話を思い出していた。なぜ女の子が生まれたら、『彩芽』と名付けようとしたか。
田所は当時、ひらがなで『あやめ』にすれば良いのではないかと提案した。だが彩花は、「ひらがなで『あやめ』では青い花が咲いてしまっている…生まれる子は私の娘…大好きな『彩』という字をどうしてもあげたいから…漢字で『彩芽』にしたい…芽は大きくなると…やがて花を咲かせるでしょう…大きくなって綺麗な花を咲かせてほしいの…彩芽の色で…どんな色を付けるか…娘の成長を見守りたい…」と話していた。
彩芽は、つま先が起点となって、体がゆっくりと左右どちらかに回っていた。男は思う、『確かに彩芽は大きくなった…』と。その目は黒い皮を纏(まと)い、赤い紐でサナギのように、枝から吊るされていた彩芽の肢体を眺めていた。皮の上からでも浮かび上がる、女らしい曲線を描く女房に向いていた。女が美しく羽ばたく姿を頭の中で思い描き、ロックグラスを再び口に運んだ。
田所は当時、ひらがなで『あやめ』にすれば良いのではないかと提案した。だが彩花は、「ひらがなで『あやめ』では青い花が咲いてしまっている…生まれる子は私の娘…大好きな『彩』という字をどうしてもあげたいから…漢字で『彩芽』にしたい…芽は大きくなると…やがて花を咲かせるでしょう…大きくなって綺麗な花を咲かせてほしいの…彩芽の色で…どんな色を付けるか…娘の成長を見守りたい…」と話していた。
彩芽は、つま先が起点となって、体がゆっくりと左右どちらかに回っていた。男は思う、『確かに彩芽は大きくなった…』と。その目は黒い皮を纏(まと)い、赤い紐でサナギのように、枝から吊るされていた彩芽の肢体を眺めていた。皮の上からでも浮かび上がる、女らしい曲線を描く女房に向いていた。女が美しく羽ばたく姿を頭の中で思い描き、ロックグラスを再び口に運んだ。