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バニーガールの穴の奥
第16章 そらとぶうさぎ

そう…他の人に見られでもしたら
不審者として通報されかねない様な
大きな独り言を俺は、
煉瓦の壁のネオンサインのウサギに
話掛けるようにして言うと…。

そのネオンサインのウサギが
踊る様な楽し気に飛び込んでいる
そのラビットホールになっている
ネオンサインの…穴を手でなぞった。

まぁ…願掛け…と言うか…
なんとなく…このウサギみたいに
俺も…穴に飛び込む…勇気が…
貰えそうな…気がした…。

『いらっしゃいませ?
一体…何をなさっておられるんですか?』

後ろから声が聞こえて来て
俺が…恐る恐る後ろを振り返ると、
スーパーの袋を抱えた
ユイがそこに立っていて。
恐らく…着て居る
トレンチコートの下は…
バニースーツなんだろうが……。

ユイが…抱えている
スーパーの袋には…、
オレンジやらライムやら
レモンやらが…入っているみたいで。
足りない物を買い出しに行っていた様だった。

「ゆっ、ユイッ…見てたのか?
いっ…いつからそこに?」

『えっと……、確か…
”お前はいいよなぁ~”の辺りから…ですが…』

「って、それ…っほぼほぼと言うより
丸々…全部聞かれてたじゃねぇかよッ…」

クスクスクスと…ユイが自分の
口元を押さえながら笑っていて、
ああ…この笑い方…ユイの笑い方だなと
そんな風に…思ってしまっていた…。

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