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第4章 裏の顔

女が肩を揺らし、「ふぅ…ふぅ…」と息遣いの荒い音が聞こえていた。

ようやく男は椅子に座り、タバコの灰を灰皿に落とす。今度は右側のラップトップを開いた。男の右手には2台のスマートフォンが握られていた。1台ずつ、スマホをカバーから外した。机の引き出しから針のように先の細いペンを出し、機械の側面から小さなカードを出していた。

男はタバコを灰皿で消し、2台分のSIM CARDを1つずつライターで焼き、火が点いたことを確認すると、それらを灰皿に入れた。小さなチップは瞬く間に炎に包まれ、電子回路が崩壊していく。ゴムが焼けるような匂いが部屋に立ち込める。男は机の上に置いたペットボトルの水を飲んだ。ボトルから灰皿に数滴落とし、カードに水をかけ、チップを完全に無効化した。

男はスマホを通信不能状態にして、2台の電源をオンにする。パソコンから伸びるケーブルを2台のスマホに繋げた。すぐにスマホが認識され、PCディスプレイと、スマホの画面が共に光る。

パソコン画面には2つの小さなウインドウが左右に表示された。佐々木は『START』と表示されたボタンにマウスポインタ―を合わせる。すると小さなウインドウ内に文字や数字がものすごいスピードで、人間が決して読めないスピードで表示され、６桁の数字がPCモニターに表示された。男はそれぞれの数字をスマホに入力すると、エラーなしで次の画面に進んだ。スマホ画面内にたくさんのアイコンが表示された。