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特別捜査官・優子
第4章 裏の顔
彼女は手首の拘束を解こうとするが、これもうまくいかなかった。女は階下で捕らえられ、縛られた後も折を見て、何度も縛られた手首を互いに擦りつけ、何とか縄を緩ませられないかとトライしていた。それは左右の手首が後ろで交差され、重ね合わされていたから、できた動きだった。

佐々木が女を注意深く目配りしていたせいで、今は互いの手のひらを重ね合わせるように、手の指を絡ませるように縛り直していた。手首をきつく包む縄が、手首を擦りつける動きを封じていた。左右の手首の中央には縄が通され、今や手首は手錠のように硬い輪で拘束されていた。

優子は縄の手錠から手首を引き抜こうと、肩を上げ、手首を上に動かそうとする。すると、ほんの少しだけ手首は上がった。「ン…ン…ンッ…」と3度試してみた。後ろで伸ばされた二の腕がまったく横に広げられない。これが原因だと判明した。その度に縄がミシミシと音を立てていた。

今度は腰を落とし、もっと腕に力が入るようにするが、優子は「ンンッ…」と声を漏らし、体を艶めかしくよじってしまう。背中の縄に掛けられたフックが、体のこれ以上の降下を許してくれない。体が吊られてしまう感覚に、優子は吐息混じりの声を出してしまった。ならばと、体の重心を前に倒し、体が吊られ、力が抜けた時に手首に意識を集中し、手首を縄から抜こうとする。縄の手錠がギュッと締り、体全体が弓のように反り返ってしまう。
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