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特別捜査官・優子
第4章 裏の顔
優子は3m先の壁を見つめていた。白系の色をした優子の顔、シャツは明るく映り、ネイビーのパンツスーツは黒く見え、優子の体の線をシルエットのように浮かび上がらせていた。そこに赤い縄が映えて見え、彼女の瞳に赤の艶やかさが突き刺さるようだった。目の前に映る自身の姿をビジュアルで確認し、「ふぅ…」と小さく息をついた。肉体の奥がむず痒くなり、両脚を内側に向けてしまう。

彼女の頭の中には、桃や梨、りんごを包む、網上の発砲緩衝材が浮かんだ。1つ1つ丁寧に包まれ、白い編み目になっているネットだった。スーパーでは『フルーツキャップ』と呼ばれている。それは伸縮性があり、適度な絞りが入っていて、丁度よい加減でフィットする。傷みやすい果物を守るため、ふんわりとした素材が使われている。

彼女の中で身近なものとイメージが繋がり、恥ずかしさが急に襲い、「ハァハァ…」と呼吸が早くなっていく。同時に体を揺すり、ミシミシと縄音を立ててしまう。肉体の至るところを包む縄は、女の体に密着していた。縄は発泡剤と違い、収縮性に優れているわけではなく、張りが増すと、縄がギシギシと軋んでいた。そして縄は肉体のなだらかな曲線を舐めるようにピタッと這い、締められ、その強さを変えることなく、優子の体を包み込んでいた。
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