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特別捜査官・優子
第6章 瑞々しい果実
だが優子はその問いに答えられず、首を背け、男の視線から逸らしていた。

佐々木は今自身が罠にはめられているのかと、頭に思い浮かんだ疑問を口にした。

「君は自らを犠牲にして…捜索中の人物に近付こうとしているのか…?」
男は女の首筋にそっと舌を這わせ、耳の裏に舌を忍ばせていく。

優子は「ふぅんっ…」と肩を左右に揺らしていた。

「それとも失敗を知らない、完璧な自分が捜査をすれば…すぐに解決できると思っていたのか…?」

肩を下にして横になった優子に、男は背中側でしっかりと縛られた両腕を手のひらで摩っていた。

「だがそれは平時の話だ…突然の思いがけない危機の時は・・・まったく別の対応が求められる…それは敵に弱みを見せないことだ…」

優子は男から『弱みを見せないことだ…』と言われ、自ら体をうつ伏せにしていた。マットの上に横にされた以上、うつ伏せだろうが、仰向けだろうが、もう関係なかった。柔らかい白いマットの上に顎をそっと乗せた。2度の絶頂で、そのうち1つは未知の体験で、疲れにも似た浮遊感で躰をマットに預けてしまう。
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