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悪いオンナ…3
第1章 【癒しの彼女には両想いの彼氏が居て……】
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反対側だったから急いで声を掛けに行ってみようかと思ったら、秒で気付いちゃったよ
彼女の左隣に別の男性が……
遠くに居るはずなのに何でこんなくっきり見えるんだ
男性は私服だったけどきっと年上の人
彼の話を相槌を打ちながら聞いている彼女
見てれば瞬時にわかる
彼女の、彼に対する視線や仕草が本当の恋人同士である事は明らかであって……
僕がそこに入る隙は、ないって事
電車がホームに到着しても、
僕はそこから一歩も動けないでいた
電車が過ぎ去ると、もう彼女と彼の姿はなかった
これで……本当に終わり?
いや、諦めなきゃダメだろ……
もう相手にされてないんだって
知らない間に、あっちは本命と仲良くしてた
やっぱり僕は……選ばれなかった側なんだ
それなのに3週間ぶりの連絡ときたら
(パーカー返しに行っても良い?)
どんな気持ちでメッセージよこしてんだよ
馬鹿にするのも良い加減にしろよって言いたい
ふざけんなよ!って……
あんなの見なかった方が良かった?
僕じゃない相手に幸せそうに笑いかけんなよ
僕に触れてた手で他の男の腕組むな
顔近付けるな
僕より好きな顔するなよ……
パーカーなんか要らないって言えば良かった
捨てといてって………
何で言えないんだよ
彼女の靴音が聞こえてきて胸が高鳴っている
本当に来た……来てくれた……
ドアを開けたら……もう………
他の男にもその笑顔振り撒いているくせに
自分に笑いかけられたら、まだこんなにも鷲掴みにされる
丁寧にショップ袋に畳んで入れてくれていて
彩花ちゃん家の柔軟剤の匂いがした
「ん……どうした?元気、ない?」って
疑いのない顔を向けてくる
その目に見つめられたら100%流されてしまうのに
本当、情けない……
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