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悪いオンナ…3
第1章 【癒しの彼女には両想いの彼氏が居て……】
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「ねぇねぇ、彩花ちゃんは今、お付き合いしてる人居るの?」
馬鹿、そんなの僕が居ない時に聞けよ
ってコイツに言っても無駄だったよな
シャンパンを流し込むしかない
「んふふ、どうなんだろうね〜?」
そうだよ、彼女は今も昔も誤魔化すのが上手かった
調子に乗って「教えてよ〜」としつこい連れをも
上手に転がしている
僕も転がされた1人に過ぎなかった
もう今は、大丈夫だけど……
「彩花〜来てくれてありがとー!」ってお色直ししたナギサが彼女にハグしてる
今や大手外資系IT企業で通訳や翻訳の仕事をしていて、海外もよく行き来しているみたいだ
ギリギリまで出席出来るかわからなかったそうで、一時帰国出来たからって言ってたな
クソ、連れと喋ってたの全部聞こえてたから……
あぁ、余計惨めだ………
考えるのは止そう
そう気持ちを落ち着かせたのに………
二次会まで時間があるからって懐かしいメンツで
集まって色々近況報告したり
ホテルのロビーで時間を潰す者も居た
僕はグループから離れて、1人、喫煙所へ
遠くをボーッと見つめて燻らせていたら、突然
「煙草、吸う人だった?」と聞き違える事のない声
顔を向けなくてもわかる
僕なりに精一杯の嫌味を込めて答える
「それなりに月日は経ったからね…」
誰かさんのお陰で手を出してしまった、とは言わないけど
カチッと音がして、つい横を向いてしまった
彼女もフーと煙を吐いてこっちを見た
手にはIQOS……
綺麗にネイルした細い指、
長かった髪は今は肩までのミディアムウェーブ、
細身のネイビードレスにヒール
立っているだけで絵になる
たくさん声も掛かってただろうに……
疲れて一服しに来たのかな
「びっくりした?私も吸う人だったの」
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